しふの音楽ブログ

音楽理論の中でも、なかなか取り上げられないようなトピックについて語ります。

お洒落なパッシングコード分析(IV→Ⅲm→〇→Ⅱm編)

今回はお洒落な曲でよく使われる4325の進行を用いて、ⅢmからⅡmに移行する間に挟むパッシングコードの可能性を探っていきたいと思う。Cキーで表記するのが好きなのでCキーで。

 

①FM7→Em7→E♭M7(13)(→Dm→G→CM7 )

※カッコ内は以下省略

ベースが下降していく最も一般的なパッシングコードといっていいだろう。

 

②FM7→Em7→A♭M7♭5

くすんだお洒落感を演出できるパッシングコード。

 

③FM7→Em7→A7#9

DmのドミナントであるA7を活用したパッシングコード。#9が決め手。

 

④FM7→Em7→Am7♭5

ボイシングをしっかりすれば綺麗に響く。

 

⑤FM7→Em7→Edim7

ルートを変えないパッシングコード。 

 

⑥FM7→Em7→Em7♭5

Edim7と大差なし(笑)

 

⑦FM7→Em7→B♭69

明るくも切ない進行。

 

⑧FM7→Em7→B♭m69

⑦のB♭69のマイナーコードバージョン。妖艶さが引き立つアレンジになる。

 

⑨FM7→Em7→E♭9→E♭7(♭9)

パッシングコードをさらに分割してみるとこのようなコードアレンジをすることができる。

 

今回紹介したように、パッシングコードには様々なノンダイアトニックコードの可能性が秘められている。思いつきで列挙した上記のパッシングコードだけでも、D♭、E♭、A♭、B♭のスケール外ノートが豊富に出てきてなかなか面白い。

 

Key=Cで使えるノンダイアトニックコードまとめ

Cメジャーキー(≒Aマイナーキー)における音階はド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シの7つ。これら白鍵の音階を組み合わせて作られるコードがダイアトニックコードだ。C、Dm、Em、F、G、Am、Bm-5の7つが基本的な三和音のダイアトニックコードと言える。しかし世の中の多くの曲には、これらダイアトニックコードに留まらず、スケール外(黒鍵)の音階を使ったコードたちが当たり前のように使われている。今回はそのような様々なノンダイアトニックコードの使い方を見ていこう。

 

(注意)

・このブログ内のコード、コード進行は全てCメジャーキーの前提で書かれています。

・引用している楽曲は全てCメジャーキーに移調して表記しています。

・括弧付きで紹介しているコードは類似したコードであるということを意味しています。

・自然に加えやすいテンションノートは使用頻度の隣に括弧で記載しています。

 ・テンションの♭は-、#は+で表記しています。

・随時更新中なので、記入していない箇所がある場合があります。

 

★C

〇C7(C9)

・使用頻度★★★★★

C7→Fというドミナントモーションが非常に多く見られる。ルートをB♭にすることもよくある。

・使用例1

Am→Gm7→C7→FM7

...※〇Gmを参照

・使用例2

CM7→C7→FM7→FmM7

(如月アテンション/じん/Aメロ)

・使用例3

FM7→G→Em7→Am7→C9/B♭

ハルウタ/いきものがかり/アウトロ)

〇C7-9

・使用頻度☆☆☆☆☆

Edim/Cと考えることもでき、Edimと似たような使い方が多い。

・使用例

E♭add9/G→C7-9→Dm7→Dm7-5/G

〇Cm7(Cm7/E♭)

・使用頻度★☆☆☆☆

トニックマイナーということでそこそこ使われていそうだが、実のところめったに見かけないコード。

・使用例

C→Dm7add11→Cm7/E♭→C/E→A♭M7→Gm7→C

ベースラインがC→D→D#→Eと上昇していく進行。

(ばいばいスーパースター/石風呂)

・使用例

C→Cm7→F/C→F7/B♭

主音をCに保ったままスケールを入れ替えるモーダルインターチェンジを使用した例。この例ではパラレルマイナーキーのIからCm7を借用している。

(216番道路/ポケモンDpt/サビ)

〇Caug

・使用頻度★★☆☆☆/(9)

Cコードのソを半音上げたコード。Eaug、G#augと構成音が同じであるため役割はそれらとあまり変わらない。

・使用例1

C→Caug→Am7→Am/G

(キセキ/Greeeen/イントロ)

・使用例2

C→Caug→C6→C7

トップノートが半音ずつ上昇するかたち。

〇Cdim7

 ・使用頻度★☆☆☆☆

オグジュアリーディミニッシュ(補助和音)として使われる。本来Iに解決するところをIdim7にすることで解決の引き延ばしをする効果が得られる。

・使用例

Dm7→G→Cdim7→C

 

★D♭

〇D♭7

・使用頻度★★☆☆☆/(9)

D♭7はドミナントであるG7の裏コードであるため、D♭7→Cというようなトライトーン代理によるドミナントモーションに使用できる。9thはミ♭で、加える場合ミの導音的な働きをする。

・使用例

C→F#m7-5→F→B♭→D♭7→C

(灼熱スイッチ)

灼熱スイッチのコード進行(ノンダイアトニックコードがかなり出てくるので参考になります。)↓

https://ja.chordwiki.org/wiki/%E7%81%BC%E7%86%B1%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%83%E3%83%81

〇D♭M7

・使用頻度★★☆☆☆(9,+11,13)

CフリジアンのⅡからの借用和音であることがほとんどなので、Cフリジアンの構成音であるミ♭(9th)やシ♭(13th)も加えやすい。Dm→D♭M7というような半音下降する進行に用いることが多い。

・使用例

FM7→Em→Dm7→D♭M7

(恋獄/霜月はるか/Aメロ、Last Kiss/JUJU)

FM7→FmM7→Em→E♭M7→Dm7→D♭M7

(如月アテンション/じん/Aメロ)

C#m7

・使用頻度☆☆☆☆☆/(11)

AmキーのパラレルメジャーキーであるAメジャーキーからの借用和音。

・使用例

Am→Bm7-5→C#m7→Dm7→E7→Am

C#m7-5

・使用頻度★☆☆☆☆

パッシングディミニッシュであるC#dim7の亜種と考えていいだろう。

・使用例

Dm9→G7→CM7→C#m7-5→Dm9…

〇D♭aug

・使用頻度★★☆☆☆(+9,+11)

基本的にルート音が半音ずつ移動するようなコード進行にしか用いられない。

・使用例

Dm→D♭aug→C→Bm7♭5→E7→Am

(さよなら/大原櫻子/Aメロ)

C#dim7

・使用頻度★★☆☆☆

CとDmの間に挿入するパッシングディミニッシュとしての使い方がほとんど。

・使用例

C→C#dim7→Dm→E♭dim→Am/E→E→Am

Dm→Dm/G→C→C#dim7→

Dm→Dm/G→C

(灼熱スイッチ)

〇D♭blk(=Gaug/D♭)

・使用頻度★★☆☆☆

更新予定。

 

★D

〇D(D/F#、D7)

・使用頻度★★★★★/(7,9)

ドミナントのGのさらにドミナントである、ダブルドミナントのコード。7thをつけることも多い。Am→D7のように、使い方によってはAドリアンスケールのように聞こえさせることもでき、民族感を出すのに一役買ってくれる。

・使用例1

FM7→Em→Dm7→D7/F#→G

(青いベンチ/サスケ/サビ前)

・使用例2

Am→G→D/F#

・使用例3

Am→Dsus4→D7

ひまわりの約束/秦基博/サビ前)

・使用例4

F→D/F#→G→G#dim

ベースが半音ずつ上がっていくコード進行。使用頻度は低い。(ひまわりの約束/秦基博

・使用例5

C→D→Bm7→Em7→Am7

(やさしさに包まれたなら/松任谷由美)

〇D9

・使用頻度★★★☆☆

D7にテンションの9thを加えたコード。D9→G7→Cなどダブルドミナントとして使用されることが多い。

・使用例1

D9→G→C

スーパーマリオブラザーズ地上BGMなど)

・使用例2

Am→D9→FM7→B♭M7

〇DM7

・使用頻度☆☆☆☆☆/(9)

上手く使うのは難しく、上級者向けであることは間違いない。D7を少し捻りたいときに、クオリティチェンジをしたDM7を使うと上手くはまることがあるかもしれない。

・使用例

FM7→G→Am7→DM9

〇Dm7-5

・使用頻度★★★☆☆

Fmの代理コードであり、Fm/Dと解釈することもできる。汎用性の差であろうか、Fmに比べるとあまり見かけない。Fmと同じく切ない響きのコードだ。

・使用例1

C→Gm→FM7→Dm7-5

・使用例2

Dm7→Dm7-5/G→C

こちらは、『さよならありがと/一青窈』のサビ前の一節である。Dm7-5/GというコードはGとA♭が半音でぶつかっており、不協和音になるかならないかの瀬戸際の絶妙な響きを生み出している。

・使用例3

Am→F→Dm7-5→G

さとうきび畑/森山良子)

〇DmM7

・使用頻度☆☆☆☆☆

専らDmを絡めたクリシェで用いる。C#aug/Dという解釈もできる。

・使用例

Dm→DmM7→Dm7→G

コードの構成音のうち1音だけ半音ずつ下がっていく進行。

 

★E♭

〇E♭

・使用頻度★★★☆☆/(6,M7,9,+11)

同主短調のⅢからの借用和音。

・使用例1

C→E♭→F→G

E♭からの全音進行パターン。FはDmで代理できる。

C→E♭→C→E♭→F

(ワールドイズマイン/Supercell

C→D7/C→E♭/C→F/C

(SkySkySky/DEPAPEPE

・使用例2

C→E♭→Dm7→Esus4→E/G#→Am

(Monster/嵐)

〇E♭7

・使用頻度★★☆☆☆ /(9)

A7の裏コードなのでDmに解決する際に使うことが多い。

・使用例

Em→E♭9/A→E♭7-9/A→Dm→G→C

E♭9をE♭7-9と一緒に使うだけで曲がお洒落になる。

〇E♭7-9

・使用頻度☆☆☆☆☆

・使用例

同上。E♭7-9/A(≒A7-9+11)のようにルートをAにすることで、表コードと裏コードを混ぜたような響きが生まれる。

〇E♭6-5

・使用頻度★☆☆☆☆/(M7,9)

Cm6の第一転回系。EmとDm7の間に挿入することが多い。M7thや9thを加えてもいい感じになるかも。

・使用例

Em→E♭6-5→Dm7→G→C

〇E♭M7

・使用頻度★★★☆☆/(9,+11,13)

FM7→Em7→E♭M7と、半音ずつ下がっていく進行で使われることが多い。

・使用例1

FM7→Em→E♭M7

(如月アテンション/じん)

FM7→G→E♭M7→Dm

(恋獄/霜月はるか

 ・使用例2

CM7→E♭M7→F→Fm

(火傷に雨/君島大空)

〇E♭M7-5

 ・使用頻度☆☆☆☆☆/(9,13)

・使用例

FM7-5→E♭M7-5

M7-5はとにかくミステリアスな雰囲気を出したいときにオススメ。

〇E♭m7

・使用頻度☆☆☆☆☆

F#で紹介しているバルトーク的疑似終止のマイナーバージョン。Am7に解決する代わりに裏コードであるE♭m7に解決する際に使う。

・使用例

Bm7-5→E7→E♭m7…

E♭m7に解決すると同時にE♭マイナーキーに転調している。

行くぜっ!怪盗少女/ももいろクローバーZ/サビ前)

〇D#dim7

・使用頻度★★☆☆☆

ポップスでの使用頻度は低い。DmとEの間に挿入する使われ方が多い。

・使用例1

F→C→D#dim7→E→Am

(レモン/米津玄師/Aメロ)

・使用例2

Am→G6/B→C→C#dim7→Dm→D#dim→E

インストゥルメンタルでたまに見る進行。哀愁感が強すぎてポップスには向いていないのかもしれない。半音ずつ上がっていくのが特徴的だ。音ゲーのCytusに収録されている曲、『Where You Are Not』でも使われている。

(Where You Are Not/NICODE、灼熱スイッチ)

〇E♭blk(=Faug/E♭)

・使用頻度☆☆☆☆☆

E♭ブラックアダー。アニソンで稀に出てくるコード。

・使用例

E♭blk→Dm9(Am/D)→Gaug9→CM7

あまりにオシャレすぎる進行。

(全力アイドル宣言♡)

 

★E

〇E(E7)

・使用頻度★★★★★/(-9,+9,-13)

キモはG#。Amに解決することが非常に多い。和声的短音階で使用すればもはやダイアトニックコードと言えてしまう。哀愁感を演出するのに持ってこいのコードで、短調の曲で使われることが多い。

・使用例1

F→E7→Am

最も多いパターンではないだろうか。Amの後にCコードを加えた循環進行も非常に多い。(ブルーバード/いきものがかり、V.I.P/シドなど)

F(Dm)→E7→Am→C(C7)

(丸の内サディスティック/椎名林檎

・使用例2

C→Bm7-5→E7→Am

(しるし/Mr.Childrenのイントロ、白日/King Gnuのイントロ)

・使用例3

Am→E→F→C

(旅の途中/清浦夏実

〇E7-9

・使用頻度★★☆☆☆

E7に-9thを加えると哀愁感マシマシになる。

・使用例

Dm7→Dm7/G→G7-9→CM7→E7-9

(灼熱スイッチ)

〇E7-13

・使用頻度★☆☆☆☆

E7-9とはまた一味違った趣のテンションコード。

・使用例

C→E7-13/B→Am

s.tayama氏がアコースティックギターアレンジした、『旅の途中』という曲で使われている。

〇E7+9

・使用頻度★★☆☆☆

+9th(ソ)がM3rd(ソ#)と半音でぶつかるエグみが気持ちいいコード。

・使用例

FM7→G→A→D7→FM7→E7+9

『ワールドイズマイン/Supercell』のイントロに用いられている進行。ノンダイアトニックコードのオンパレードである。

〇Em6

・使用頻度☆☆☆☆☆/(9,11)

Emにド#を加えたコード。ポップスではほぼ出てこない。主にインストゥルメンタルで活躍しそう。

・使用例

Dm6→Em6→FM7(13)→B7/D#→E

〇Em9

・使用頻度★☆☆☆☆/(11)

通常IIIm7のテンションに9thを選択することはないが、IIIm上でアドリブをするとき、Eフリジアンではなく敢えてEエオリアンを選ぶことがある。その際ファ#がアヴェイラブルテンションとなりEm9を演奏することができる。

・使用例

FM7→Em9→Dm9→CM9

〇Em7-5

・使用頻度★☆☆☆☆

Em7-5→A7-9→Dm9のようなマイナーツーファイヴワンで使うことが多い。

・使用例

CM7→Em7-5→A7-9→Dm9→G7→CM7

〇Eaug

・使用頻度★☆☆☆☆/(7)

Eコードの5thを半音上げてできるコード。E7-13omit5と同じコードなので、上述のE7-13と似た響き。

・使用例

・C→Eaug→F→D

世界がひとつになるまで

〇Edim7

・使用頻度★☆☆☆☆

A#dim、C#dim、Gdimと同じ構成音。

後ろにはDm7が続くことが多い。

・使用例

C→Edim→Dm7→Dm7-5/G

 

★F

〇F7

・使用頻度★★☆☆☆

VII7であるB7の裏コード。ブルースでよく使われる。ミ♭がキモ。

・使用例1

Am→F7

おっと思わせてくるイカした進行。

トルコ行進曲

・使用例2

F7→E7→Am

一般的にはFM7のところを、F7にした進行。E7のドミナントであるB7をF7に置き換えた進行と解釈してもよい。

(230番道路/ポケモンDpt)

・使用例3

C7→F7→C7→F7

〇Fm(Fm6、Fm7)

・使用頻度★★★★☆/(6,7,9,11)

パラレルマイナーキーからの借用和音。切なさを出すのに有効なコードである。とくに6thの音が加わるともの悲しさを演出しやすい。パラレルマイナー色を強く出したいときはミ♭(7th)やシ♭(11th)などのテンションも選択肢に入ってくる。

・使用例1

F→Fm

鉄板である。(コンタクトケース/Saucy Dog、キセキ/Greeeenのイントロ、さよならありがと/一青窈のイントロ、ひまわりの約束/秦基博、ギブス/椎名林檎、心絵/ロードオブメジャーなど)私はサビでのF→Fm6→Em→Amが好物だが、このパターンはそこまで多くない。

・使用例2

Dm7→Em7→Fm7→Gm7

F→Fmに比べると出現頻度は大きく減る。Dm7→Em7→F→Gの進行をモーダルインターチェンジを使って雰囲気を変えるとこのような進行ができる。(恋獄/霜月はるか、SkySkySky/DEPAPEPEなど)

・使用例3

Dm7→Fm6→C→A7

となりのトトロ/井上あずみ

・使用例4

C→G#aug/F#→FM7→Fm7/E♭→B♭m6

〇Fm7-5

・使用頻度☆☆☆☆☆

Bm7-5の裏コード。F7に似た響きだがこちらの方が暗めの印象。

・使用例

Fm7-5→E7→Am7

マイナーのツーファイブワンであるBm7-5→E7→Am7のVIIm7-5を裏コードに置き換えた進行。

〇FmM7

・使用頻度★★☆☆☆/(11)

コードスケールはFメロディックマイナーを当てることが多いので、シ♭(11th)を加えやすい。FM7→FmM7のカタチが基本。

・使用例

CM7→C7→FM7→FmM7

(如月アテンション/じん)

※〇C7を参照

〇Fdim7

 ・使用頻度★☆☆☆☆

構成音が同じであるG#dim7と似たような使い方が多い。

〇Fblk(=Gaug/F)

・使用頻度★☆☆☆☆

G7-13の5thを省略したコードなので、ドミナントの役割を持つ。

★F#

〇F#

・使用頻度☆☆☆☆☆

他のメジャートライアド系統のノンダイアトニックコードとくらべて圧倒的に使用率が低い。FやGの前後に置いてアクセント的使い方をしたり、トニック代理として使う。

・使用例1

C→F→F#→G→C

・使用例2

Dm→G→F#

バルトーク的疑似終止。Gのトライトーンに通常とは異なる解決をさせ、F#に着地する。詳しくはSoundQuestさんの記事を参照。

soundquest.jp

〇F#M7

・使用頻度☆☆☆☆☆/(9,+11)

トニックのCM7の裏コード。上述のバルトーク的疑似終止の変化形。

・使用例

Dm7→G7→F#M7

〇F#m7

・使用頻度★☆☆☆☆/(9,11,13)

AマイナーキーのパラレルメジャーキーであるAメジャーキーからの借用和音。

・使用例1

Am11→F#m11→FM9+11→Em7→Am7(11)

F#m11での浮遊感が心地よい。

(Absolunote/Lemm)

・使用例2

Am→F#m→DM7→Bm7→D/E

 この進行は特殊で、Aメジャーキーで、トニックに解決する際モーダルインターチェンジでIをImにしていると考えてよい。そのため使用例1のF#mとは少し意義が変わってくる。

風の谷のナウシカ/安田成美)

・使用例3

C→F#m7→F→Dm7→Dm7/G

メロディにシが使われており、F#m7-5にすると不安定だが、F#m7を選択すると絶妙な響きに。

(Sir Duke/Stevie Wonder

〇F#m7-5

・使用頻度★★★★★/(11,-13)

Cリディアン、若しくはAメロディックマイナーからの借用和音。Amにルート音のファ#を付け加えたコードであるとも解釈できる。

・使用例1

構成音のルート音が半音上がるだけなのでFM7→F#m7-5の進行はよく見られる。(カゲロウデイズ/じん、白日/King Gnuなど)

・使用例2

Am→G→F#m7-5と下降してくる進行だ。Am→G→D/F#の代理進行でもある。(さよならありがと/一青窈のAメロ、コネクト/ClarisのBメロなど)

使用例3

やや頻度は劣るが、C→F#m7-5という進行もある。トニックからいきなりノンダイアトニックコードに飛ぶため強烈な印象を与える。 C→F#m7♭5→FM7→C (コンタクトケース/Saucy Dog/Aメロ)

〇F#blk(G#aug/F#)

・使用頻度★☆☆☆☆

専らFコードの前に挿入される。

・使用例1

C→F#blk→F

全然違和感なく聞ける進行。F#→Fと半音下がるのでなめらかに移行している。

世界はそれを愛と呼ぶんだぜ/サンボマスター、どんなときも/槇原敬之

 ・使用例2

Dm9→E7→Am11→Gm6→F#blk→FM7

Vmから半音ずつ下がっていく。(アポロ/ポルノグラフィティ

 

★G

〇G7(-9-13)

・使用頻度★★★☆☆/(+9,+11)

G7にオルタードテンションを程よく加えたコード。ジャズで使用されることが多い。

・使用例

Dm7→G7(-9-13)→C9→A#dim

ツーファイブを応用したコード進行。

〇G7+9

・使用頻度☆☆☆☆☆

A♭→G→Cの進行をアレンジするとA♭M9→G7+9→Cのような進行ができる。

A♭M9とG7+9で共通のノンダイアトニックノートであるシ♭を有しているのが特徴だ。

・使用例

A♭M9→G7+9→C

〇GM7

・使用頻度☆☆☆☆☆

上手く使うのは難しく、上級者向けであることは間違いない。このコードが使いづらいのは、調性がGメジャーに非常に揺らぎやすいところに原因がある。

・使用例

Am9→FM7→GM7→Dm7

Dm7がナチュラルのファを含むことで調性の揺らぎをただしている。そのおかげでCメジャーキーでGM7を使うことに成功している例。

Gm(Gm6,Gm7)

・使用頻度★★★★☆/(6,7,9,11)

Gm→C7→FM7などのツーファイヴワン進行のリレイテッドⅡマイナーとしてよく使われる。7thに比べて6thはあまり使われない。

・使用例1

Am→Gm7→C7

1番多く見られる進行。AmとC7を繋ぐクッションとしてのイメージ。(カブトムシ/aikoひまわりの約束/秦基博、さよならありがと/一青窈など)

Am→Gm7→F

(スパート/松本梨香、想像フォレスト/じんなど)

・使用例2

C→Gm→F→Fm

C→Gmの方がAm→Gmよりもインパクトが強く汎用性も低いためそこまで使われないが、ハマると癖になってしまう進行である(私の主観)。

(さよならありがと/一青窈/イントロ)

・使用例3

C→Em7→Gm7→C

めざせポケモンマスター/松本梨香/サビ、ヤサシイセカイ/田所あずさ/サビ)

・使用例3

C→G→Am→Gm6→A7

Gm6からA7に進むパターン。

となりのトトロ/井上あずみ

〇Gaug

・使用頻度★☆☆☆☆/(7,-9,9,+9+11)

ドミナントの変化形であるため、G7altと同じような役割と言っていい。

・使用例

E♭blk→Dm9→Gaug9→CM7

Gaugに7thと9thを足したGaug9が用いられた進行。

(全力アイドル宣言♡)

※E♭blkを参照

〇Gdim7

 ・使用頻度☆☆☆☆☆

オグジュアリーディミニッシュ(補助和音)として使われる。本来Vに解決するところをVdim7にすることで解決の引き延ばしをする効果が得られる。

・使用例

C→F→Gdim7→G→C

★A♭

〇A♭

・使用頻度★★★★☆/(6,M7,9)

パラレルマイナーキーのVIから借用してきコード。B♭とセットで使われることが多い。サブドミナントマイナーのFmの代理として使われることもある。

・使用例

F→A♭→C

Fmの代理と解釈できる進行。

・使用例2

A♭→B♭→C

モーダルインターチェンジを利用した解決方法。

〇A♭7

・使用頻度★★☆☆☆/(9,13)

7thがスケール外のソ♭であるため、前述のA♭とは明確に区別される。ダブルドミナントであるD7の裏コードなので、D7をA♭7に置き換えると面白い効果が得られることがある。

・使用例1

CM7→Am7→A♭7→G7

・使用例2

G7(13)→G#7(13)→G7(13)

13thがいい味を出している。

コネクトフォーのBGM/アソビ大全より/イントロ)

〇A♭6-5(=Fm6/A♭)

・使用頻度★★☆☆☆/(M7,9)

サブドミナントマイナーの第一転回系。そのためA♭6-5はFm6/A♭と表記する方が相応しいことがほとんどだろう。

・使用例

C→C/B♭→F/A→Fm6/A♭

ベースラインが半音ずつ下がっていく進行。

(残ってる/吉澤嘉代子/Aメロ)

〇A♭M7

・使用頻度★★★☆☆/(9,+11,13)

M7はダイアトニックノートのソであるので、A♭をこのコードに置き換え可能な場合が多い。

・使用例

FM7(13)→A♭M7(13)→D♭M7(13)→CM9

怒涛のM7押しだがふわふわとした神妙な進行。

(Absolunote/Lemm)

〇A♭M7-5

・使用頻度★☆☆☆☆/(9,13)

A♭M7の5thであるミ♭をレにしたコード。コード自体は珍しいが綺麗な響きを持つ。

・使用例1

Am→A♭M7-5→Am/G→F#m7-5

〇A♭m7

・使用頻度★☆☆☆☆/(9)

IIm7であるDm7の裏コード。ポップスではAm7→A♭m7→Gm7というように、専らAm7とGm7の間に挟んで使われる。

・使用例1

Am7→A♭m7→Gm7→C7→FM7

・使用例2

FM7→A♭m7→G7→CM7

A♭7と使い方は似ているが、こちらの方がより調性が揺らぎやすいのが特徴。

〇A♭m6(A♭m6/B)

・使用頻度★☆☆☆☆

サブドミナントマイナーであるFm7の代理。シの音が特徴的で、シをルート音にするとクール。

・使用例

C→F#blk→FM9→A♭m6/B→E♭add9/G→

Edim7→Dm7→Dm7♭5→C

〇A♭aug

・使用頻度★★☆☆☆(7,9,+11)

Amからの半音下降進行に専ら登場する。下記のA♭M7-5と似た響き。

・使用例

Am→A♭aug+11→Am/G→F#m7-5

半音ずつ下がっていく進行。

めざせポケモンマスター/松本梨香

〇G#dim7

・使用頻度★★★★☆

Amへ繋ぐパッシングディミニッシュとして活躍する。E7-13の根音省略形体であるのでE7の代理コードとして扱うことができる。

・使用例1

F→G→G#dim7→Am

このような進行が非常に多い。G→G#dim7→Amでルート音が半音ずつ上がっていくのが特徴。Gを飛ばしてF→G#dim7→Amとする進行もある。

(気まぐれロマンティック/いきものがかりCatch the Moment/LiSA、ひまわりの約束/秦基博など)

・使用例2

Am→G#dim7→G→F#m7-5

Amから下降してくるパターン。ルート音が半音ずつ下がっているのが特徴である。

(さよなら/大原櫻子

 

★A

〇A(A7)

・使用頻度★★★★☆/(7,-9,-13)

Aの後にDmやDで解決する場合が多い。

・使用例1

Dm→G→C→A7→Dm...

A7がドミナントとなりDmにスムーズに解決するオシャレな循環進行。

C→Am→A7-9→Dm

こちらもやはりドミナントモーションによりDmで解決している。AmからA7という流れも比較的多く見られる。

・使用例2

F→G→Asus4→A

一時的にトニックをAmではなくAとする進行。

(約束のうた/清浦夏実

A→F→G

こちらも同様に一時的にトニックをAとしている。

(旅の途中/清浦夏実

・使用例3

Em→A7→F→Fm7

(カブトムシ/aiko/Aメロ)

・使用例4

C→F→Asus4→A

(光のロック/サンボマスター/Aメロ)

〇AM7

 ・使用頻度☆☆☆☆☆/(9)

CメジャーキーのレラティブメジャーキーであるAメジャーキーから借りてきたコード。

・使用例

Dm9→G7→CM7→AM7

よくある2516進行のVI7をVIM7にクオリティチェンジした進行。

〇AM7sus4

・使用頻度☆☆☆☆☆

・使用例

F→G→AM7sus4→AM7

もはやAメジャーキーであるといった方が相応しい気がするが、F、GをCメジャーキーのIV、Vとみなした解釈もできるので紹介する。

〇Am6

 ・使用頻度☆☆☆☆☆

F#m7-5の転回系と考えるのが自然である場合が多い。ラをペダルポイントとして使うコード進行に登場する。

・使用例

Am7→Am6→Am-13→Am

〇AmM7

・使用頻度★★☆☆☆

基本的に構成音が半音ずつ移動する進行にしか使われない。

・使用例

Am→AmM7→Am7→D7

トップノートがラ→ソ#→ソと半音ずつ下がる進行。

〇Aaug7

・使用頻度★☆☆☆☆/(-9)

A7-13の根音省略形体。E♭9の代理のような役割。A7の前にこのコードを挟むとトップノートだけファ→ミと半音下がり、お洒落。

・使用例

Em→Aaug7→A7→Dm→G→C

 

★B♭

〇B♭

・使用頻度★★★★☆ (6,9)

パラレルマイナーキーのⅦから借用してきたコード。

・使用例1

A♭→B♭→C

Cに解決する進行。通常F→G→Cと解決するところをパラレルマイナーキーからの借用和音を用い、A♭→B♭→Cと解決する。(光のロック/サンボマスター恋☆カナ/月島きらりスーパーマリオブラザーズ地上BGMなど)

・使用例2

C→G/B→B♭→A7

半音ずつルート音が下がっていく進行。

(さよなら/大原櫻子

・使用例3

C→B♭→Am→A♭

こちらもパラレルマイナーキーからの借用和音B♭、A♭を用いた進行。

(花火/aiko

・使用例4

Am→F→C→G→B♭

G→B♭の流れは展開力があり、しばしば見られる。(SUMMER SONG/YUI

〇B♭7

・使用頻度★★☆☆☆(9)

7thがスケール外のラ♭なので、B♭トライアドとは区別する。Ⅲ7であるE7の裏コードなので、E7をこのコードに置き換えると面白い。

・使用例1

Dm7→CM7→Bm7-5→B♭9-13→Am

テンションに-13が加わって複雑な響きに。

(遭難/東京事変/Aメロ)

・使用例2

FM7→B♭7→Am7→D9

一般的にはE7が使われるところが多いところを、B♭7を選択することで少し変わった響きを得られる。

(夜の子供/パスピエ

〇B♭9+11

・使用頻度☆☆☆☆☆

FmM7/B♭とも表記できる。FM7→FmM7というコード進行をすこし捻るとFM7→FmM7/B♭、つまりFM7→B♭9+11という進行が生まれる。

 ・使用例

Am7→C9→FM7→B♭9+11→

Dm9→E7→Am9

(アポロ/ポルノグラフィティ/サビ)

〇B♭7sus4

・使用頻度☆☆☆☆☆(9,13)

転調感が出てしまうので、キーを維持したまま使うのはやや難しいかもしれない。

・使用例

F#m7-5→E7/G#→Em7→Am7→

B♭13sus4(A♭M13/B♭)

Am7に解決するや否や、B♭13sus4で高揚感を煽るコード進行。この後短三度上のE♭キーに転調しそうな匂いも漂わせている。Last Kissという曲では、サビ前にこの進行を用いて高揚感を出し、転調しそうな浮遊感を出しながらも、サビで転調せずにIVM7から展開している。

(Last Kiss/JUJU)

〇B♭M7

・使用頻度★★★☆☆/(9,+11,13)

M7はダイアトニックノートのラであるので、B♭をこのコードに置き換え可能な場合が多い。テンションの+11であるミを加えると神秘的な響きになる。

・使用例

FM7→B♭M7→Am

(祈りの彼方/志方あきこ

FM7→G→B♭M7→Am7

(恋獄/霜月はるか

Em→Am→B♭M7

〇B♭m6

・使用頻度☆☆☆☆☆

全くバレずにCキーからFキーへ転調できる力を秘めたコード。

・使用例

C→G#aug→FM7→B♭m6→Am7→

Dm7-5/G#→Gm→C7→F

まったくバレずにFへ転調する進行。

〇A#dim7

・使用頻度★☆☆☆☆

ルート音が半音ずつ移動する進行で使われることが多い。また、Dmへ解決しやすい。

・使用例

C→Em/B→A#dim→A7

(Butterfly/木村カエラ

・使用例

Dm7→G7→C7→A#dim

〇B♭blk(=Caug/B♭)

・使用頻度☆☆☆☆☆

このコードといえば『灼熱スイッチ』だろう。ちなみに『灼熱スイッチ』ではかなり奇抜な使われ方をしている。

・使用例

B♭blk→Am7→C7

『灼熱スイッチ』のサビのコードである。サビ1小節目からいきなりこのコードを使うことで界隈に衝撃を与えた。

 

★B

〇B7(B7-9)

・使用頻度★★☆☆☆/(-9)

短調での使用が主である。AmにドミナントモーションをするE7のドミナントである。-9thを加えると哀愁感が増す。F#m7-5→B7→Emというふうに、いつの間にかEmキーに転調しているといったことがある。

・使用例

B7-9→E7→Am

ダブルドミナントを利用したコード進行である。(キミガタメ/Suaraのサビ前)

・使用例

Am→B7/A→Bdim/A→Am

ペダルポイントを利用したコード進行。

(Monster/嵐)

〇Bm7

・使用頻度★☆☆☆☆

Aメロディックマイナーからの借用和音と解釈できる。Bm7-5の代理コードとして使用され、Bm7-5のファの音がファ#になることで独特の浮遊感を感じさせる。

・使用例1

Am→E→F→C→Bm7→Am...

CとAmのクッション的な役割。ここでは、使用例2と異なりBm7-5の代理的使い方ではない。

(旅の途中/清浦夏実

・使用例2

Bm7-5の代理の役割。

Am→FM7→G→Em→Bm7→E7→Am

(そこに空があるから/江崎としこ)

 

Am→G6→FM7→Em7→Dm7→CM7→Bm7→E7→Am

(キミガタメ/Suara)